自己資本を改善するために、DDS(デット・デット・スワップ)とDES(デット・エクイティ・スワップ)のどちらを選択すべきでしょうか?

債務超過の上場企業であれば、DESを選択するしかありません。DDSでは、債務超過を解消できないからです。
一方、DESは債務消滅益が出るのが一般的であるため、税負担がかかります。また、資本金に振り替える事により、株式発行を伴うため、DDSより面倒です。 DDSは中小企業のために開発された手法です。

銀行にとってもDESの方が有利です。貸付金はなくなりますが、その見合いの株式を取得するため、銀行の貸借対照表には影響を与えないからです。

DESについて

DESは、負債を資本へ振り替えます。負債が減って自己資本が増えるので債務超過を解消する事が可能です。

・ 債権者の同意が必要です。 実際は、債権者の債権(貸付金)を保全するために、返還条件のある「優先株式」が利用される事が多いです。

・ 銀行にとってメリットがあります。貸付金は消滅しますが、会社の株式を取得するため、銀行の資産はDESの前後で変わりません。企業が再建して再上場した場合、株式売却益を見込む事ができます。

・ 債務消滅益が出ると課税されます。 借入金は額面ですが、振り替える資本金は時価(回収可能額)で評価されます。よって、債務消滅益が出るのが通常です。

(借方)借入金 200 (貸方)資本金 150
(貸方)債務消滅益 50

・ 債務者区分がアップします。自己資本が強化されて各種経営指標が良くなり、ランクアップします。

DDSについて

DDSは、負債を別な条件の負債(劣後ローン)へ置き換えるものです。 「劣後ローン」とは、返済の順番が劣ったローンです。(債権者が数人いたら、その人達に返済した後の残りの財産で返済してもらいます)

・ 債権者の同意が必要です。

・ 銀行の債務者区分のランクがアップします。DESが実行されても借入金のままですが、銀行は、これをDESと同様に資本として扱います。つまり、自己資本が強化されて各種経営指標が良くなり、ランクアップします。ランクアップすることにより、返済期限が延長になったり、追加融資に応じてもらえます。しかし、金利は高いです。