「退職給付に関する会計基準」が改正されています。
連結決算では、簿外債務だった「未認識債務」の遅延処理(一旦、簿外にして、一定の年数による費用処理を通じて債務に計上。これにより、会社の財政状態の急激な悪化を防止出来る)が認められなくなります。

「未認識債務」の即時認識により負債が増加するため、企業によっては、「確定給付型」から「確定拠出型」に移行する企業も増えています。
「確定拠出」は、掛金だけを費用計上(相手科目 現金)するだけです。

「未認識債務」の即時認識は、連結財務諸表だけです。個別財務諸表は今迄通りです。

3月決算会社が一番早く適用され、本事業年度末からとなります。
(平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から。)

■ 即時認識する事により、どう会計処理が変わるのでしょうか?

連結貸借対照表に、「未認識債務」が即時に負債計上されます。
しかし、費用処理を通じて負債計上をするのではありません。「包括利益(連結貸借対照表の純資産の部)」を通じて負債計上をします。
「包括利益」に全額計上された「未認識債務」は、規定の年数により費用処理(退職給付費用)されます。つまり、「その他の包括利益」から費用処理への組換調整です(リサイクリング)。

よって、費用と損金計上のタイミングがずれるので税効果の対象となります。
損金計上は、退職一時金は退職金支払い時、年金は掛金拠出時です。 

(例)
過去勤務費用(※)100。実効税率40%。5年で償却。

※ 過去勤務債務⇒過去勤務費用へ名称変更(平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から。連結・個別問わず適用)

<計上時>
(借方)退職給付に係る調整額(その他の包括利益)100(貸方)退職給付に係る負債100
(借方)繰延税金資産40(貸方)退職給付に係る調整額40

※退職給付引当金⇒退職給付に係る負債へ名称変更
(平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から。連結のみ適用)

<償却時(過去勤務費用は、当期より償却)>
(借方)退職給付費用20(貸方)退職給付に係る調整額(その他の包括利益)20
(借方)退職給付に係る調整額8(貸方)法人税等調整額8