資産除去債務は2010年4月以後開始する事業年度から適用されました。
= 例 =
設備を取得したが、その取得原価は500である。耐用年数は5年。
残存価格ゼロの定額法。
この設備は使用後に除去する法的義務がある。
設備を除去するときの支出は100と見積もられた。
この費用を割り引くと95とする。
今回は、便宜的に時の経過による利息は、毎年1ずつ増えていくとする。
3年後、設備が除去されて、それにかかった費用は150であった。
< 契約時 >
(借方)固定資産500(貸方)現金500 ←固定資産取得時
(借方)固定資産95(貸方)資産除去債務95 ←除去時にかかるであろう費用(割引後)
< 毎年の決算時 >
(借方)減価償却費100(貸方)減価償却累計額100 ←500÷5
(借方)減価償却費19(貸方)減価償却累計額19 ← 95÷5
(借方)支払利息1(貸方)資産除去債務1
※1 この支払利息は、営業外費用の支払利息ではありません。減価償却費と同じ区分に計上します。
減価償却費が販売管理費に計上されているならば、販売管理費。
< 除去時 >
(借方)減価償却累計額300(貸方)固定資産500
(借方)固定資産除却損200
(借方)資産除去債務98(貸方)現金150
(貸方)費用52
※2 費用52は、減価償却費と同じ区分に計上。上記※1と同じ。
除去時のキャッシュフロー計算書は次のようになります。
「資産除去債務の適用指針 12項」では、資産除去債務を実際に履行した場合、その支出額は投資活動によるキャッシュフローの項目として取り扱うとなっています。
投資活動CFに「資産除去債務の履行による支出 △150」を計上します。
そのやり方は、営業活動CFから投資活動CFにキャッシュフローを組み換えます。
営業活動CFにプラス150をし、投資活動CFでは「資産除去債務の履行による支出 △150」とします。
具体的には、営業活動CFの「資産除去債務の増減△98」にプラス98を加算する。
費用52については、税前利益に含まれているが、税前利益の数値を変えるわけにはいかない。そのため、営業CFの「その他」でプラス52を加算する。
営業活動CFで、98+52=150加算したので、投資活動CFでは150減算する必要がある。
組み換えのために、キャッシュを抜いたならば、その分、どこかでキャッシュを加算しなければならない。